駐日カナダ大使のメッセージ ― カナダデーに寄せて
2020年7月1日
153回目のカナダ連邦結成記念日にあたり、ご挨拶申し上げます。今日は世界中でカナダ人が、カナダデーを祝っています。
カナダは今年、地球規模の大きな混乱の中でこの日を迎えました。世界のあらゆる国々が、多くの人命を奪い甚大な経済的損失をもたらしたパンデミックを封じ込めようと格闘しています。さらに今、世界情勢は緊迫し、気候変動の脅威、人種的不平等への抗議行動が起きています。このような中、最前線で新型コロナウイルスと闘う医療従事者やライフラインを支える人々の勇敢な姿は私たちの胸を打ち、多様性やインクルージョン、社会正義といった積年の課題に真剣に向き合おうとする各国社会の動きは、私たちを励ましてくれます。
このように先行きが不透明な中で、カナダと日本が長い年月をかけて築いてきた緊密で安定したパートナーシップの意義は計り知れません。両国の絆は、人権の尊重、民主主義、法の支配、開かれた市場、クリーンな環境などの共通の価値観と、これを基盤とする国際組織への長期的なコミットメントに根ざしていますが、今これら全てが試練にさらされています。日加両国が、志を同じくするG7、G20、WHOなどの重要機関のパートナーと連携して、ルールに基づく国際秩序の維持に努め、喫緊課題の新型コロナウィルス危機に共に取り組むことの重要性は、かつてないほど高まっています。
実際に、日加両国は自由で開かれたインド太平洋の推進に取り組んでおり、カナダは地域安全保障への関与を強めています。日本や他のパートナーと緊密に協力しながら、カナダは国連の北朝鮮制裁措置の履行を確保するため軍の配備を強化しました。また、カナダ統合軍と日本の自衛隊は、共同訓練や人的交流を通じて、2019年6月に発表された初めての「日本国防衛省とカナダ国防省との防衛協力に関する共同声明」に盛り込まれた意欲的な目標の達成に向け活動しています。
ビジネスの分野でも日本とカナダは力強い関係を享受し、新型コロナウイルスによる経済の落ち込みに対処する上でその重要性は一層高まっています。「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」は、ルールに基づく貿易への両国のコミットメントを示しており、WTO改革のほか、医療品、農産物、生活必需品やサービス供給のための開かれたサプライチェーン維持に向けて協力しています。また、カナダは長年にわたり日本経済に多くの必需品を届けてきた主要な供給国であり、厳しい世界情勢の本年においても、カナダの貿易は成長を続けています。イノベーションでの提携も重要性を増しつつあり、日加の研究開発エコシステムが相乗効果を生み、AI、IT、量子計算、クリーンエネルギーなどの分野で互いの強みが生かされるなど、今後大きな発展が期待されています。
人と人とのつながりも豊かさを増しています。とりわけ昨年の夏に、高円宮妃殿下がカナダ各地を御訪問になったことは私たちにとって大変光栄なことでした。スポーツでは、ラグビーワールドカップでカナダ男子代表チームが温かい歓迎を受け、トレーニングのためにこれまで日本を訪れたオリンピック、パラリンピックの代表候補選手たちは、2021年夏に再び来日することに大きな期待を抱いています。アートの分野では、数多くのカナダ人パフォーマーが日本で熱心なファンを獲得し、日本の皆様と再びつながる機会を心待ちにしています。観光と教育での交流も、渡航制限の解除後には回復するに違いありません。
強固な基盤に立つ日加関係は、今後も発展を続けていくことでしょう。しかしながら、現在私たちが直面している喫緊の課題は地球規模であり、多国間での解決が必要です。カナダと日本はこれらの解決に向けて重要な役割を果たすことができます。私は両国が力を合わせて前に進んで行くことを信じています。
ハッピー・カナダデー!
駐日カナダ大使
イアン・バーニー
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