カナダデーに寄せて
154回目のカナダ連邦結成記念日にあたり、ご挨拶申し上げます。私は間もなく駐日カナダ大使として新たな任務を開始することを楽しみにしています。また、強固な基盤を持つ日加関係を生かし、新たな機会に向けて、共通の関心事や優先事項への取組みを推進していくつもりです。
カナダと日本は、将来へのビジョンの軸となる共通の価値観と優先分野を持つ素晴らしいパートナーです。今年5月、両国はインド太平洋について共有する法の支配、平和維持、ヘルス・セキュリティー、自由貿易の促進、エネルギー、環境および気候変動の6つの優先協力分野を発表しました。この新たな枠組みは、今後のインド太平洋地域における日加協力の基礎となることでしょう。
地球の健康を守ることは、世界が共有する最も重要な課題です。カナダと日本は二国間および多国間の協議の場で連携することにより、温室効果ガス排出量を削減し、クリーンな成長を促進し、自然災害に対する強靭性(レジリエンス)を強化し、環境を保護するための施策を講じる上でリーダーシップを発揮できます。両国は既に、成長を阻害することなく、よりクリーンで豊かな未来につながる方法で経済の脱炭素化に向けた取組みに協力しています。
相互的な経済の繁栄を持続させるためのカギである「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」は、ルールに基づく貿易への日加の強いコミットメントと共に、双方に新たなイノベーションへのパートナーシップと、貿易や投資の機会をもたらしています。日加のビジネスのつながりは非常に強く、両国が新型コロナウイルスの経済への影響に対応する中でその重要性は一層高まっています。カナダは長年にわたり日本にとって主要な経済パートナーであり、またカナダ経済において重要な役割を果たしている日本の投資や企業から多大な恩恵を受けています。
カナダと日本は、LGBTQの権利に関する認識の向上や女性・女児のエンパワーメントをはじめとする、多様性とインクルージョン、権利擁護(アドボカシー)に関しても共通の目的を持ち、取り組んでいます。カナダは全ての活動において、国の基軸であるこの価値観を示すことに誇りを持っています。渡航制限の撤廃に合わせて、カナダは文化産業、観光、留学、学術機関との連携などで交流を拡大し、これらのテーマを推進する新たな機会が生まれることを期待しています。
新型コロナウイルスへの対応という課題がある中でも、カナダは間もなく開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会を楽しみにしています。カナダ政府は、年齢、能力、人種、民族、性別、性自認、性的指向に関わらず全てのカナダ人が安全にスポーツに携わることができる環境を整えることに尽力しています。カナダのオリンピック・パラリンピック代表選手たちは競技力向上のため懸命に努力し、その多くは既に日本国内の事前合宿での練習や、ホストタウンでの交流で大きな成果を得ることができました。これらはいずれも、姉妹都市や友好団体の方々による長年の貴重なご貢献と同様に、日本における幅広いカナダネットワークを構成する大切な要素です。
カナダと日本が築いてきた安定したパートナーシップは、人権の尊重、民主主義、法の支配、開かれた市場、クリーンな環境などの共通の価値観に根ざし、これらの理想を支える国際機関への強いコミットメントを伴うものです。日加の友情は揺るぎなく多面的であり、今後も発展し続けることでしょう。
将来に目を向けると、カナダと日本の間には地域的な協力、環境管理の重視、若者の関与や意欲を高める取組み、貿易と投資の機会拡大、そして全ての行動において多様性を称え、インクルージョンを推進していくことで、その絆を一層強めていく大きな可能性があると私は確信しています。
カナダ大使館
イアン・マッケイ
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イアン・マッケイは次期駐日カナダ大使に指名されています。
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