駐日カナダ大使のメッセージ - カナダデーに寄せて
2022年7月1日
今日はカナダを祝福する155回目のカナダデーです。絶えず変化し続ける世界の中で、カナダと日本が長年築いてきた緊密で安定したパートナーシップは、相互の繁栄と安全保障の源となっています。両国が共同で構築した6つの優先協力分野 - 法の支配、安全保障、健康、自由貿易の促進、エネルギー安全保障、環境および気候変動- はこれを体現するものであり、自由で開かれたインド太平洋地域の実現を推進し、将来にわたって日加関係を一層の繁栄に導く包括的な枠組みとなります。
今年は特に、ロシアによるウクライナ侵略を受け、この優先協力分野のひとつである法の支配が新たな重要性を持つようになっています。カナダと日本は、G7と国連での協力を通じてロシアに明確なメッセージを送るとともに、このような行為を模倣し得る他の勢力に向けて警告を発しました。私たちが現在ヨーロッパで守ろうとしている法の支配の原則は、他の地域にも同じく適用されており、カナダは2018年から軍事資産を投じて、日本と共に国連の対北朝鮮制裁の任務に当たっています。
国際的な法の支配の実行と維持には多くの形があり、一国だけでできるものではありません。たとえば、違法・無報告・無規制漁業については、カナダ、日本、米国、韓国が合同で対策を講じ、その一環としてカナダは日本に監視機を派遣しています。持続可能な漁業政策を推進し、食料安全保障と海の恵みを頼りにする沿岸地域の経済的な安定を守るためには、国家間の協力が不可欠です。
カナダと日本は、優先協力分野である自由貿易の促進を通じて、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」の成功を生かし、国際貿易における法の支配を維持し、WTOの改革について協力しています。複雑さを増す地政学的ダイナミクス、マクロ経済的転換、保護主義の高まりという状況の中で、カナダと日本のビジネスにおける結び付きがより強くなっていることは安定と繁栄の源であり、大きな意味を持ちます。カナダにとって、日本は極めて重要な経済パートナーです。日本企業がカナダ経済に信頼を寄せていることから、多くのカナダ人やコミュニティーが恩恵を受けています。世界第4位の、そしてアジア最大の対外直接投資国であり、また、カナダにとっても世界第4位の輸出市場である日本は、カナダ製品の主要な消費国でもあります。このため、日本が経済安全保障上の脅威に対して抱いている懸念は、カナダにも影響があることです。カナダは、エネルギー、資源、農産物の信頼できる供給国として、この懸念の解消に貢献できます。また、志を同じくする民主主義国が最先端に立つことが極めて重要なAIや量子計算などの分野での基幹技術について、日本とのパートナーシップを強化しています。
環境と気候変動については、カナダと日本は気候変動問題をはじめとする環境面での課題に協力して取り組む中で、排出を削減し、クリーンな成長を推進し、回復力を強化するための新たな方法を開拓するリーダーになり得ます。両国は既に、よりクリーンで繁栄した未来につながる経済の脱炭素化に向けた行動で協力しています。
カナダと日本は、将来へのビジョンを形作る価値観と優先課題を共有する最適なパートナーです。両国は、民主主義を守り、人権の尊重を促進するために協力し続けなければなりません。私は40年にわたり日加関係に深い関心を寄せてきましたが、いまこそまさに両国の関心が明確に一致した千載一遇の好機であると感じています。
ハッピー・カナダデー!
駐日カナダ大使
イアン・マッケイ
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