駐日カナダ大使のメッセージ - カナダデーに寄せて
2023年7月1日
インド太平洋で共により強く
カナダの156回目の誕生日を祝うにあたり、日本に目を向けると、両国が協力する機会がかつてないほど増えて、日加関係は急速に拡大しています。昨年のカナダデーにメッセージを寄せてから今日までの間に、カナダの日本との、そしてインド太平洋との関係を方向づける二つの重要な枠組みが導入されています。
その第一は、日加の外務大臣が共同で発表した「自由で開かれたインド太平洋に資する日加アクションプラン」です。このアクションプランで両国は、ルールに基づく国際秩序、経済成長、エネルギー安全保障、生物多様性、気候変動対策の推進を目的とする二国間の取組みを実行することを表明しました。
第二は、カナダのインド太平洋戦略です。これはインド太平洋地域に焦点を当ててカナダの外交政策、貿易、国際開発を大きく深化させる、政府を挙げての戦略で、今後5年間で新たに約23億カナダドルの初期投資を行うものです。前述のアクションプランとこの戦略は緊密に連携し、カナダがインド太平洋で活動する上で日本が中心的な役割を担うことを明確にしています。2023年4月に、私が主要な任務である駐日カナダ大使に加えてカナダのインド太平洋特使に任命されたことは、このような日本の重要性を示しています。
インド太平洋地域でカナダが存在感を高めていく上で、日本は重要なエントリーポイントとなっています。現在は北朝鮮による国連制裁逃れに対処するためカナダ軍の哨戒機と艦船が日本国内および周辺で定期的に活動し、またカナダ政府の監視機が北海道に配置されて北太平洋における違法・無報告・無規制漁業の発見と抑止を行っています。カナダから多くの代表団が日本を訪れて、安全保障、貿易、科学、環境、文化について協議し、人と人との絆を広げ、多様性と包摂性をたたえています。
>
地政学、経済、環境分野で情勢がますます厳しくなっている中で、カナダと日本は協力を強化しています。トルドー首相と岸田首相は2023年1月と5月の会談で、これらの課題に取り組んでいく決意を改めて確認し、日本がG7議長国を務めていることを踏まえて協力していく旨を約束しました。戦争がもたらした苦しみを雄弁に物語る地で開催されたG7広島サミットの首脳コミュニケは、包摂的で強靱な世界を構築する必要性について強いメッセージを発しています。トルドー首相は、広島平和記念資料館を訪問して深い感銘を受けました。広島が経験した恐怖を繰り返してはならないというカナダと日本が共有する決意は、ルールに基づく国際秩序の支持、民主主義の擁護、人権の促進への私たちの意欲をさらに高めるものです。
カナダと日本の相互補完的な経済を背景に、両国のビジネス関係は繁栄しています。「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」に発効時から参加しているカナダと日本は、英国のこの重要な協定への加入について協力して交渉し、成果を挙げました。カナダは、基幹技術や重要鉱物をはじめとする分野で、ルールに基づき正しく機能する多国間の貿易システムに支えられた、強靭、安全、かつ持続可能なサプライチェーンを確立するため、日本との協力をこれからも推進していきます。カナダは、気候変動と闘うために新たなクリーン産業を構築しています。この注目すべき転換とそれがもたらす機会に、日本企業が世界水準の技術を生かして貢献し、カナダに投資し、イノベーションや研究のパートナーシップを深めていくことに期待しています。
カナダと日本は最適なパートナーです。この一年間で両国が構築した新しい体制は、共通の価値観と優先課題、将来への共通のビジョンを明確に表しています。私は日加関係の素晴らしい可能性に大きな期待を抱き、駐日カナダ大使を務めていることを光栄に思っています。
ハッピー・カナダデー!
駐日カナダ大使
イアン・マッケイ
- 更新日: